民法改正と不動産取引

01 改正のポイント

まずは「民法がどのように改正されるのか」といった観点におけるポイントを説明します。
一点目は、「わかりやすいものとする」ことです。
現行の民法は、「判例」(裁判の先例)を理解した人でなければ内容を正確に理解しにくいものとなっており、こういった判例法理を明文化し、もっとわかりやすいものにするということです。
二点目は、「条文のあり方を見直す」ことです。
現民法は、第1条から順に読んでいっても、とりとめがなく、要点が分かりにくい文章の構成となっています。たとえば、最初に「総則」、真ん中辺りに「債権総則」や「債権各論」があり、横断的に読まないと結論にたどり着けない、といった形です。
そのため条文の位置関係や、そのあり方を変えていく必要性があるといわれているのです。
三点目は「社会・経済の変化に適応する」ことです。
制定当時の社会・経済状況とは明らかにかけ離れた条文を見直す必要があります。
四点目は、「国際的な取引ルールとの整合性を図る」ことです。
日本の法律は全般的に「大陸法」と呼ばれる、旧フランス法や旧ドイツ法を手本としていることから、諸外国が多く採用している「英米法」との整合性が図られていない部分があり、取引の際にトラブルの争点になることがあります。

02 不動産取引への影響

上で説明したような大きな改正ポイントに基づいた、各改正案では不動産取引に影響を与える可能性の高い改正点も存在します。ここでは、不動産の売買契約に関して影響がありそうな点を説明します。
(1)契約解除要件の変更
債務不履行による解除の要件が変更され、「重大な債務不履行があった場合のみ、契約解除ができるようにする変更」が予定されています。現在は、債務不履行を「履行遅滞」、「履行不能」、「不完全履行」の種類に分けて扱っていますが、「重大な不履行」に一元化され、さらに、「瑕疵担保責任」も契約責任の一つとして、債務不履行責任に包含していくことが検討されています。
(2)目的物の瑕疵に対する買主の救済手段の変更
目的物に瑕疵があった場合に、買主の救済手段として「瑕疵のないモノの引き渡し請求」、「修補請求」、「代金減額請求」が追加される予定です。
(3)「不実告知」及び「不利益事実の不告知」による取消事由の新設
現在の民法では、「詐欺」と「強迫」が契約の取消事由となっていますが、消費者契約法に採用されている「不実告知」及び「不利益事実の不告知」が民法においても、取消事由として採用されようとしています。
「不実告知」とは、たとえば買主が契約を締結するか否かを判断するあたり通常影響を及ぼすべき事項につき、売主が事実と異なることを示したため、買主が事実を誤認し、契約した場合における、売主側の態度・対応をいいます。
「不利益事実の不告知」とは、たとえば売主が契約するにあたり、買主に対して買主の不利益になる事実を故意に告げず、それにより買主が誤認した場合における売主の態度・対応をいいます。

03 全般的に売主の責任が重くなる可能性がある

現行の民法では「規範」を重視する傾向が強く、普遍的に応用できる余地がかなり多く作られています。それは、現行の民法が一つの事象に数種の解釈を用い、それぞれ適切な結論を導こうという柔軟性の高いものであるともいえるかもしれません。
ただ、今回の改正によって「当事者の合意・契約」を重視するという欧米寄りの流れに変わる可能性が高く、不動産の売主にとっても今まで以上に契約責任が重くなる可能性が高いといえます。
まだ、気になる改正の時期について公式な発表はありませんが、ここ数年の間には国会への提出がされると予測されています。
将来、不動産を売却する予定の方は、この民法改正の動向について注意しておきたいところです。

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