01 不動産登記簿記載の地積が必ずしも正確な訳ではない
土地を売却する際、「坪あたり○万円にしましょう」と不動産会社から売り出し価格の打診を受けたりすることがあると思いますが、その単価と掛け合わせるものが地積です。地積とは土地面積のことですが、これを知る上で便利なのが不動産登記簿謄本です。不動産登記簿謄本は、法務局で取得することができ、地番の他、地目、地積などの表示がされています。
また、土地の所有権に関する事項や、所有権以外に関する権利関係、たとえば抵当権や地上権なども記載されています。ところで、この地積ですが一体どのように測られたのでしょうか? 土地の面積を測ることを、「測量」と言いますが、現在、一般的には測量士と呼ばれる専門家が測量し、その結果を土地家屋調査士と呼ばれる専門家によって登記事務が行われます。
昨今は、測量技術や測量器具も正確で、高度なものとなっています。ところが、昔の測量は今と比べると発展途上であり、また相隣関係、すなわち、お隣と境界の明示に関しても、曖昧な状態で進められてきました。今でこそ、個々の権利意識は高まっていますが、その昔は宅地開発なども行われず、ありのままの集落に人が暮らしていたため、「だいたいこれくらいでしょう」という感覚が一般的だったのです。
現に、日本の国土の内、すべてが現在の技術で測量が行われている訳ではなく、未開の山林などでは当時のままで登記されていることがあります。このような背景から、昔に登記されたまま、改めて測量がされていない土地においては、正確な地積が正しく反映されていないケースがあるのです。
02 正確な測量がされないままで、土地を売却すると…
では、正確ではない面積の土地を売り渡すとどうなるのでしょうか? 正確な地積よりも少ない場合は売主が損をしますし、正確な地積よりも多い場合は買主が損をしてしまいます。特に、後者の場合は、その事実が発覚すると損をした買主とのトラブルになりかねません。法律的には「数量不足売買」に該当し、その土地を買い受けた買主が目的を達成できないようであれば、契約を解除されてしまう可能性もあります。
03 確定測量と公簿売買
そこで売主ができる対策方法が、2つあります。1つ目は境界確定測量です。この確定測量とは、売り渡しを行う前に測量を改めて行い、測量の基礎となる境界に接する地権者の確認まで済ませてから登記をする、といったものになります。こうすることによって、最新の測量技術に基づいた、正確で、境界の争いもない土地を売り渡すことができます。費用は掛かりますが安心できる方法です。
もう1つは、公簿売買という手法です。これは、現に登記されている面積に、若干の相違があろうとも、予め登記簿謄本等の公簿に記載された面積を正しいものとみなして売買する方法になります。たとえ、後で実際の面積が違うことが判明してもお互いに文句を言わないという条件で、契約を締結する方法です。しかし、その面積の相違が社会通念上、あまりに大きなものである場合は、必ずしも有効な取り決めにはならないといった判例もあることを注意してください。
したがって、土地の売却を予定される方にとって予め確定測量しておくことは、売却に向けての重要な準備の一環といえます。売却時にお役立て下さい。