01 中古物件や土地を売却しても消費税は発生しない
具体的な影響を紹介する前に、まず消費税がかかるものとかからないものについて整理してみましょう。まずは売却価格。不動産売買の場合、消費税は新築の建物にしか発生しません。中古の建物は新築のときすでに「消費」されているものですし、土地は消費するものではないので消費税はかかりません。つまり、消費税が2%増税したからといって、中古物件や土地の価格には影響がなく、価格が上がり物件が売りにくくなることはないわけです。
02 仲介手数料はやや高くなる
一方で消費税がかかるものもあります。それは取り引きの際に不動産会社に支払う仲介手数料です。仲介手数料は宅地建物取引業法で、不動産の売買代金が200万円以下の部分が5.25%(=5%+消費税)以内の額、200万円を超え400万円以下の部分が4.20 %(=4%+消費税)以内の額、400万円を超える部分が3.15%(=3%+消費税)以内の額と定められています。これは買い手だけでなく売り手も支払う必要がありますので、増税後は諸費用がやや高くなります。例えばマイホームを2000万円で売却、うち建物部分が500万円の価値だった場合だと、仲介手数料は増税前なら16万2000円(仲介手数料3%+消費税8%)だったものが、増税後は16万5000円(仲介手数料3%+消費税10%)となります。建物の売却価格が500万円で3000円、1000万円でも6000円程度の負担増なので、売却で得る利益を考えるとあまり大きな負担とはいえません。
また、その他の諸費用でも消費税がかかるものでは、リフォームやクリーニングを業者に依頼した場合の料金や、売買取引の書類作成を司法書士に依頼した場合の報酬があります。
03 増税直後は一時的に売りにくくなる可能性も
消費税増税の影響は、金銭的な影響だけでなく人の動きにも影響します。増税直後は、少しでも安く買いたいと考える人たちの駆け込み需要が一段落する影響で、しばらくは動きが鈍る可能性があります。ただし、これは一過性のもので終わる可能性があり、年末に10%に引き上げられることが決定すれば再度駆け込み需要が起こることも考えられます。消費税増税と合わせて不動産に対する優遇税制も拡充されますので、あまり世の中の変化に影響されずじっくり売却活動をするのが賢明かもしれません。
結論としては、増税による影響は一過性のもの、または小さいと考えられます。
諸費用の負担が多少増えることや一時的に売りにくくなることをメインに考えていては、良好な買い替えのタイミングを逃してしまうこともあります。不動産の売却は、金銭的な損得のほかに家族の生活や暮らしやすさの向上なども重要なので、さまざまなことをバランスよく考えて行動したほうがいいでしょう。