01 建物の価値は約20年でゼロになる
一般的に、一戸建ての価格は1年で約5%下落し、約20年でゼロになると言われています。例えば、新築の一戸建てを3000万円で購入した場合、土地の価格が1000万円、建物が2000万円だと、20年後の価値は土地のみの1000万円となります(土地の資産価値が変化しなかった場合)。
これは昔の木造の建物の寿命が25年と考えられていたという慣例が影響しています。しかも、これは経年劣化した部分を補修・メンテナンスしている建物の場合であって、何も手を入れていない一戸建てはさらに評価が低くなる傾向にあります。
ただし、建物の価値が20年でゼロになるからといってマンションより資産価値を保ちにくいと言うわけではありません。一戸建ては土地の価値が担保されているので、どちらが資産価値として保たれやすいかはケースバイケースです。
02 現在は、「建て替え」から「寿命を延ばす・再生する」方向へシフトしつつある
ここまではネガティブな情報ばかりでしたが、最近は傾向が変わりつつあります。
ここ数年、政官業が一体となった取り組みが加速しているのと同時に、社会の価値観も変化しています。具体的には、これまでスクラップアンドビルドが主流だった建物ですが、長く使われるようにリフォームや耐震補強を施すことにシフトチェンジしつつあります。国土交通省もこの方針を推進しており、長期優良住宅制度や既存住宅流通・リフォーム推進事業を展開しています。
また、不動産デベロッパーやリフォーム会社にもこの流れを受けて新たな取り組みを行なう会社が増えています。具体的には、築年数の古い一戸建てを買い取り、建て替えではなく、耐震補強やリノベーションを施して新たに売りに出すという事例が増えているのです。
今後、急速に建物の価値が保たれやすくなることはないかもしれません。しかし、建物の寿命を延ばすメンテナンスを施している一戸建てについては、徐々に価値が担保されやすくなっていくでしょう。耐用年数を上げる補修やリフォームを施した建物は以前に比べて評価されるようになっています。耐震基準適合証明書などの書面があればより正確に評価されやすいので、過去のメンテナンスの証明書などを持っている人は、売却前に準備しておきましょう。